前回の記事でも書きましたが、売り手にはたくさんのメッセージが届いています。
たくさんのメッセージのなかから、自分のメッセージに返信をもらうためにも、売り手にとっての魅力的な文章をかきたくても、以下のように感じてしまい、書き出しが思いつきませんでした。
・何をどう書けばよいのか、よくわからない
・どんなメッセージを送るかよりも、より多くの案件にメッセージを送るほうが重要なのではないか
疑問を解決するために、私自身で複数パターンのメッセージを送り、返信率を分析してみました。
分析したところ、返信率が高いメッセージには、共通点があることがわかりました。
この共通点こそが、「メッセージを送るときにおさえるべきポイント」です。
今回は、このポイントを整理していこうと思います。

交渉メッセージのポイント①:案件の評価できる点を明記する
売り手は、「案件のどこが評価されてメッセージを送ってくれたのか」が気になっています。
交渉メッセージを送る場合は、案件情報からどんなポイントを評価したのかを、具体的にわかりやすく伝えることが重要になります。
例えば、
埼玉県カフェ事業の案件情報を拝見しました。
ぜひ実名交渉をさせていただきたく、情報開示をお願いいたします。
のようなメッセージが来ても、「本当に案件に興味があるのかな?最終的に購入まですすむだろうか?」と思う方も少くないはずです。
案件情報から、事業の熱量や、想いが伝わってきました。
特に2002年の創業間もないころから行っている従業員への育成制度がとても印象的でした。
会社の拡大だけでなく、従業員のキャリアや家庭を大事にしていることがわかり、大変惹かれています
ぜひ実名交渉させていただきたく、情報開示をお願いします。
上記のように、具体的にどのポイントを評価したのかを相手に伝えて上げることで、「この買い手は会社のことを考えてくれている。会社のイメージも持てているし、交渉をしてみようかな」という姿勢がうまれるはずです。
交渉メッセージのポイント②:案件に期待することを明記する
譲受する会社や、現在のオーナーや経営者への期待を伝えることも重要です。
引き継ぐことによって、会社をよりよいものにできるのではないかと考えています。
と書くだけでは伝わりません。抽象的な表現は避けたほうがベターです。
現在行われているカフェ事業ですが、ネット集客を活用していないという部分にも魅力を感じています。
私の経歴として、ネット集客も経験しておりますので、事業をより伸ばすことができると思っています。
ネット集客と言っても、単純な広告からSNSの活用など、さまざまなやり方があると思いますので、
現在の事業実態に合わせて良いやり方を模索して行こうと考えています。
上記のように具体的方法を一部だけでも伝えて上げることが大切です。
これによって、売り手が期待感を持つことができ、返信が来る確率がアップします。
交渉メッセージのポイント③:自分の魅力に根拠や実績を添える
売り手が買い手に「期待していること」を予測するのは非常に難しいです。
なので、自分の人間的魅力、経歴もしくは職歴が書きやすいと思います。
ここでの注意点ですが、抽象的な内容にならないように気をつけてください。
例えば、
マーケティングの経験があるため、集客で事業を伸ばす事ができます。
とだけ記載するのはNGです。もっと踏み込んで記載したほうが返信がきます。
・集客が成功しやすい理由はなにか?
・なぜ集客で事業をのばせるのか?
という2点が不明ですよね。
なので、メッセージを受け取った売り手は、将来の事業成長(または売り手の豊かな生活)を想像しづらいんです。
どうせ書くのであれば、
私はこれまで、ECのマーケティングを仕事としてきました。 特に、リアル店舗への集客が得意です。webでの集客だけでなく、道路の看板広告や、チラシでの広告も行ってきました。 道路の看板広告は、同じ交差点に出す場合でも、どの方角に掲示するかによって大きく集客結果が異なったり、 チラシ広告を出す場合でも、その土地ならではの媒体に広告を出すことで、大きく結果が異なるのが面白く、より地域に根ざした集客を経験したいと思っていました。 今回のお話が前に進むのであれば、現在の事業の中身やブランドイメージは変更することなく、集客手法を改善することで事業を成長させようと考えています。 貴社のカフェがあるエリアでは、XXXという紙の媒体が特に有力だと思っていまして、そのあたりもお話伺いたく存じます。
上記のように、より具体的な名前まで示すことにより、買い手は事業成長のイメージもしやすくなります。
重要なのは、とにかくあなたの強み/魅力に根拠や信憑性を持たせることです。

交渉メッセージのポイント④ : 売り手と従業員への配慮を示す
「この人になら事業を任せたいな、メッセージを返信してみようかな」と感じてもらうためには、序文の段階で機械的な文章ではなく、人間味のある配慮や「事業だけではなく、経営者の人間性にも興味を持っている」ということを伝えましょう。
おそらく、たくさんメッセージが届いているかと思いますが、3分ほどお時間をいただけると幸いです。
以前もメッセージを送らせていただきましたが、どうしても興味があり、 改めてメッセージを送らせていただきました。
事業の内容はもちろん、貴社の地域が私にとって、思い入れのある地域でしてご連絡させていただきました。 また、従業員の皆様を大事にしているという点でも惹かれております。
交渉メッセージのポイント⑤ : 気軽な返信を促す
最後まで読んでもらえたら、最後に「この人の話、聞いてみようかな」と思ってもらうことが大事です。
最後の最後に、相手の不安を払拭する配慮や、心理的な返信ハードルを下げる工夫が有効になります。
もし少しでもご興味を持っていただけたら、「気になる」の一言でも構いませんので、
ご返信いただけると嬉しいです。
事業の譲渡先をご検討される際は、やはり「誰にまかせるか」が最も重要だと個人的には考えております。 それを確認する機会として、お気軽にご面談のご連絡をいただけますと幸いです。まずはカジュアルに、電話面談でも構いません。
もし今すぐ売却を考えていらっしゃらなくても、一度お気軽にお話させていただいて、会社の状態や、将来どうやっていきたいかなどを フラットにお話できればと思います。
もちろん、最終的に譲渡に至らない可能性もあると思います。 譲渡まで至らなくとも、外部人材からの情報獲得だと思っていただき、お話するお時間をいただけますと幸いです。

GoodメッセージとBadメッセージの例
Badメッセージ
はじめまして。 〇〇と申します。 この度は、案件情報を拝見し、事業内容に興味を持ちました。 私のこれまでの経験を活かして、事業を伸ばすことができればと思い、連絡させていただきました。 私はマーケティングの会社に務めている会社員です。 マーケティングに関わって10年以上経過していますが、時代とともに新たなマーケティング手法が登場していますので、 日々仕事に奮闘しています。 貴社の事業内容や、今後のビジョンについて、ぜひざっくばらんにお聞かせ いただけませんか? ご興味もっていただけましたら、ご返信いただけると幸いです。
Goodスカウト
はじめまして。 ◯◯と申します。 (交渉メッセージのポイント①:案件の評価できる点を明記する) 案件の内容を拝見いたしました。 現経営者様の事業への熱量やプロ意識の高さが伝わり、従業員さまを大事にしている姿が想像できました。 財務情報を見ても、お客様1人1人を大切にしないと出せない単価可と思いますので、人を大事にしている会社なのだろうなと感じています。 (交渉メッセージのポイント②:案件に期待することを明記する) 現在行われているカフェ事業ですが、先述の魅力だけではなく、ネット集客を活用していないという伸びしろにも魅力を感じています。 私の経歴として、ネット集客も経験しておりますので、事業をより伸ばすことができると思っています。 ネット集客と言っても、単純な広告からSNSの活用など、さまざまなやり方があると思いますので、 現在の事業実態に合わせて良いやり方を模索して行こうと考えています。 (交渉メッセージのポイント③:自分の魅力に根拠や実績を添える) 私はこれまで、マーケティングを軸にキャリアを積んできました。 特に、リアル店舗への集客が得意で、道路の看板広告や、チラシでの広告も行ってきました。 道路の看板広告は、同じ交差点に出す場合でも、どの方角に掲示するかによって大きく集客結果が異なったり、 チラシ広告を出す場合でも、その土地ならではの媒体に広告を出すことで、大きく結果が異なるのが面白く、地域ごとにマーケティング手法をカスタマイズして、複数の店舗の集客に成功してきた経験を持っています。 今回のお話が前に進むのであれば、現在の事業の中身やブランドイメージは変更することなく、集客手法を改善することで事業を成長させようと考えています。 貴社のカフェがあるエリアでは、XXXという紙の媒体が特に有力だと思っていまして、そのあたりもお話伺いたく存じます。 (交渉メッセージのポイント④ : 売り手と従業員への配慮を示す) 今すぐ事業の売却を考えているわけではないから…という場合でも、よければ一度お話させていただいて、 具体的な貴社の状況や、従業員メンバーの雰囲気を感じることができたら嬉しく思います。 (交渉メッセージのポイント⑤: 気軽なメッセージを促す) もしお話の機会をいただけるようでしたら、「興味がある」の一言で構いませんのでご返信いただけないでしょうか? 事業譲渡の話ではなく、マーケティングの話や、他社の事例など含めて、何かしら価値のあるお話をできると思います。 お話することで、私も勉強させていただくことがたくさんあると思っていますので、事業譲渡の話につながらなくとも構いません。 ご検討ください。ご返信お待ちしております。
いかがでしたでしょうか?
買い手にとっての本当に魅力的な案件に出会える機会は少ないです。
少ない機会をものにするためにも、返信率アップに影響することは小さなことを積み重ねて行きたいものです。
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